山ひとすじの お勧めの山 |
福智山 (ふくちやま901m 福岡県北九州市) |
雲取山から見る福智山 |
【はじめに】 北九州市八幡東区の皿倉山から南へ尺岳、福智山、牛斬山、香春岳と続く山並みがあり、北端の皿倉山と南端の香春岳とのほぼ中間にある福智山はその最高峰である。 この福智山系は北九州、筑豊周辺の人々に最も親しまれる山系で、福智山以北は自然林が美しく九州自然歩道が皿倉山へと続いている。以南は杉、檜の植林地からなっているが、秋のススキの原は見事である。 |
|
山頂一帯はクマザサとススキの心やすらぐ山稜である。その展望は360度さえぎるものは何もなく英彦山をはじめ福岡県内の大半の山々、さらに天気が良ければ南側に九重の山並み、東側にはYUTAchanが薦めるカルスト地形で有名な平尾台・貫山、さらにその先には瀬戸内海・響灘の海が見える。西側には蛇行する遠賀川の流れが見られ、北側には北九州市の町並みや玄海灘もみられて、見飽きることが無い。 また、福智山は英彦山修験道行場の一つで、最盛期には僧坊12坊を数え、修験の行が盛んであったとのことである。 山頂には現在も二つの石祠があり、南側が豊前の小笠原藩が祀った福智神社、西側は筑前の黒田藩が祀った福智社(鳥野神社)である。 山麓に滝が多いのも特徴の一つで白糸の滝、大塔の滝、七重の滝などがあり、平尾台とともに、北九州国定公園にも指定されている。 近くにある鷹取山は、黒田武士で名高い母里太兵衛が城主として使用した城跡(鷹取山城とも白鷺城とも云う)があり、山頂の南、西に名残の石垣がみられる。 西麓には16世紀の末、朝鮮から帰化しこの地に高取窯を創始し、今では上野焼と称する皿山が点在している。 登山ルートも四方八方から通じているので、好みのルートが選択できる。 |
||
平尾台・貫山方面の展望 |
福智社 |
福智神社 |
【私と福智山】 はじめて福智山に登ったのは確か昭和37年頃だったと思う。その頃はレクレーションといえば山に登るくらいしかなかった時代だった。 その後福智山に登ったのは、健康維持のため平成5年頃から夫婦揃って始めたウォーキングにあき足らなくなり、平成6年頃から近くの山歩きを始めた。そして、この福智山系の北端である皿倉山から、南端の香春岳迄を、細切れにして春から秋までかかって歩いたときであった。 その後は年に数回登山していたが、今年から時間的な余裕が出来たため最低週1回は登山することを目標にしている。 頻会に、登山するようになって感じることは、今まで気付かなかった自然に感動することである。特に登山道路沿いで見られる山野草や木々の緑等、移り変わり行く自然に何時も新鮮な発見があり喜びを感じている。 歩きはじめの頃は花が咲いている・・・何の花だろう・・・綺麗だなと思う程度だった。最近は同行する花好きの女房殿のお蔭で、少しは花の名前も覚えてきた。女房殿には何回云ったら覚えるのと笑われているが (^^ゞ 四季折々に咲く花に興味を覚えてきた。 そして、デジカメにその可憐な花や四季の景色を撮影して、その画像を近況報告のメールに添付したり、友人のHPに投稿し、それを見られる人に季節の推移を楽しんで貰えれば、自分も嬉しいし、これもボランティアの一つになるのではないかと思っている。 毎年北アルプスに行っているが、その前のトレーニングに八幡西区の自宅から福智山迄、往復約31qを歩くことにしているが、良いトレーニングコースとなっている。 私の故郷の山は少年時代まで過ごした久留米市の高良山であるが、八幡西区に居を構えた現在では、遠くに出掛けて帰ってくるとき、福智山が見えるようになって来るとやっと帰ってきたという気持ちが起きてくる故郷の山となっている。 私は日本100名山や九州100名山登山にはこだわり無く山歩きをしている。先日、福智山1000回登山されたご夫婦の記念登山に出会ったが、自分も1000回登ろうということにこだわらずに、今後もシーズンによって登山コースを変えて登り続けエンジョイするつもりである。 |
||
オミナエシと福智山(秋) |
ナンバンギセル(秋) |
ヤブツバキ(春) |
【コース紹介(主なルート)】 ●鱒淵ダムコース (自然歩道経由) 鱒淵ダム→30分→登山口→30分→ホッテ谷別れ→60分→福智山 鱒淵ダム←30分←登山口←25分←ホッテ谷別れ←45分←福智山 (ホッテ谷経由) 上記のホッテ谷別れからホッテ谷新道を行く道 ホッテ谷別れ→45分→烏落→15分→福智山 ホッテ谷別れ→40分→烏落→12分→福智山 (七重の滝から豊前越し経由) 鱒淵ダム→30分←七重橋→75分→山瀬・豊前別れ→30分→豊前越→20分→烏落→15分 鱒淵ダム←25分←七重橋←60分←山瀬・豊前別れ←25分←豊前越←15分←烏落←12分 →たぬき水→10分→福智山 ←たぬき水← 8分←福智山 たぬき水の直ぐ近くに避難小屋(荒宿荘)がある。 ●頂吉経由コース 頂吉越バス停→25分→上頂吉→110分→頂吉わかれ→20分福智山 頂吉越バス停←25分←上頂吉← 90分←頂吉わかれ←20分福智山 ●内ケ磯コース 以前は大塔橋迄車を乗り入れられたが、現在福智山ダム工事中(平成15年完成予定)のため林道歩きを余儀なくされる。 (大塔滝経由) 内ケ磯→50分→大塔橋→25分→大塔滝→40分→烏落→25分→福智山 内ケ磯←40分←大塔橋←15分←大塔滝←30分←烏落←20分←福智山 (筑豊新道経由)健脚向き直登コース 内ケ磯→50分→大塔橋→50分→八丁→15分福智山 内ケ磯←40分←大塔橋←40分←八丁←10分福智山 (上野越経由) 内ケ磯→50分→大塔橋→10分→薙野→25分→上野越→40分→福智山 内ケ磯←40分←大塔橋←10分←薙野←15分←上野越←30分←福智山 ●上野峡コース (上野越経由) 駐車場→10分→上野峡登山口→50分→上野越→40分→福智山 駐車場← 8分←上野峡登山口←35分←上野越←30分←福智山 (白糸の滝経由・直登コース) 駐車場→10分→上野峡登山口→20分→白糸の滝→70分→八丁の辻→15分→福智山 駐車場← 8分←上野峡登山口←15分←白糸の滝←60分←八丁の辻←10分←福智山 ●白雲ラインコース(安直コース) 鉄塔横登山口→25分→上野越→30分→八丁→15分福智山 鉄塔横登山口←20分←上野越←25分←八丁←10分福智山 自分の住んでいるところが、福智山系の西側の八幡西区であるため、西側の内ケ磯コースや、上野峡コースから登ることが多いこと、東側の鱒淵ダムコースはガイドブックも多く、友人の山旅人さんのHPやTakaさんのHPにも紹介してあるので省略することにした。 また、内ケ磯コースや、上野峡コースも紹介してあるガイドブックも多いことや内ケ磯コースは現在福智山ダムの工事中で取り付きから、約1時間の林道歩きを余儀なくされていることから不便になっており、ここではガイドブックにない、静かな山行をしたい人のためのコース(上野峡から白糸の滝経由・直登コース)について紹介することにした。 |
200号線分岐付近から 見る福智山 宮馬場から上野峡へ 向かう途中から眺める福智山 上野峡登山口入り口 |
【上野峡から白糸の滝経由・直登コース】 JR直方駅前からJRバスが上野峡まで乗り入れていたが、今は廃止されているのでマイカー登山が便利である。 北九州市又は九州自動車道方面からの場合は、200号線バイバスの道路標識の所から左折し、「中小企業大学直方校」方面に車を進める。 途中の道路には「中小企業大学直方校」、又は「福智山ろく花公園」等の案内標識があるののでこれに従う。 中小企業大学直方校前を通り過ぎて、3箇所ほど左折して行くと上野峡の登山口駐車場に着く。 200号線バイバス分岐点付近から見た福智山の眺めは、写真参照を参照されたい。 また、県道22号線の宮馬場歩道橋から上野峡に入ることもできる。 駐車場から5〜10分程歩くと、白雲ライン林道入口の右側に車がやっと通れるくらいの細い舗装道路がある。(写真参照)その道を取って登っていくと間もなく行き止まりとなる。そこに自然休養林の案内板が立っている。 案内板の前で小道が右、前、左と三方に分かれる。ここを右側へ行くと「白糸の滝経由・直登コース」となる。 渓流沿いに小橋を渡って進み、水しぶきに濡れた岩場を登りつめると「白糸の滝」(写真参照)である。およそ10m程の滝は、周りの岩峰の美しさと共にひとつの仙境を思わせる。桜と紅葉のころ、また盛夏には涼を求めて行楽客が多いとか。 「白糸の滝」で小休止したら滝の左側に石仏が祭ってあり、その右側にベンチがあるが、この間を通り抜けていよいよ直登コースに取り付く。(写真参照) 暫らくあるくと左側に虎の尾桜への道が分岐しているが、(少し判りにくいが)右側にすすむ。 |
|
白糸の滝 |
直登コース入り口 |
虎尾桜への分岐 |
林道からの入り口 鷹取山を見下ろす ススキの中を進む 八丁の辻からの福智山頂 |
更に登っていくと左に虎尾桜への道が分れて、案内表示板がある(写真参照)が、そのまま真っ直ぐ進む。更に暫らく歩くと今度は右に源平桜(片道15分〜20分、注1)への道が別れている。ここも小さな案内表示板がある。 ここも直進し暫らく歩くと林道に飛び出す。 林道を右に僅かに歩くと直ぐ左に直登コースの入口が見えている。(写真参照) 樹林の中の直登コースには、途中2箇所ほどロープが取り付けてあり、息を弾ませて登ることになる。この辺りは滑りやすく下りには使いたくないところである。 樹林の中を通り抜けると福智山(東峰?)が見えてくる。振り返ると鷹取山が見えている(写真参照)。 暫らく登るとそのピークから福智山の勇姿が見える(写真参照)ようになる。 八丁の辻を通り福智山の山頂は直ぐそこにある。(写真参照) 福智山から東側に九州自然歩道を下ったところにある鈴が岩屋付近は、山野草も多いところで、時間に余裕があれば立ち寄りたいところである。 山頂で360度の展望を楽しんだら筑豊山の会がつくった山小屋荒宿荘に下る。山頂の天候によっては山小屋で食事をするのも良いだろう。直ぐ近くには水場「たぬき水」もあり便利だ。 下山は山小屋から少し九州自然歩道を登り返し、八丁へ向かおう。 八丁の直ぐ近くには内が磯への下山道「筑豊新道」も右側にあるが、構わず直進すると上野越に着く。 「上野越」から直進すると白鷺城址の鷹取山頂へ、左の道は上野峡に下り、右が内が磯へと行く四つ辻である。 時間に余裕があればここにザックを置いて、鷹取山を往復しよう。登り15分、下り10分程度である。 上野越から1〜2分ほど上野峡側に下ると左側に天が桜(注2)入口があるが、案内標識はない。左に人が歩いたような踏み跡がり、赤いテープが付いているので見落とさないようにしないと、通り過ぎてしまうことになる。 桜の時期は立ち寄られることをおすすめする。 さらに下っていくと天が馬場(注3)を通り白雲ラインへの分岐を右に見てそのまま直進して下ると、林道に出会う。 ここは横切り上野峡谷に入り込む。 途中左手に虎尾桜(注4)への道が左側にある。ここから15分〜20分で行けるので、桜のシーズンには是非立ち寄られることをおすすめする。 ここからは上野峡登山口は近い。 |
|
山小屋とヤマボウシの風景 (初夏) |
||
天が桜 虎尾桜 |
注1.源平桜 1本は濃い緋色の花、もう1本が淡紅色の花を咲かせる「エドヒガン」が並んで立っていることから2本を一緒にして「源平桜」という。手前が平家で奥が源氏桜である。 注2.天が桜 鷹取山の頂きに城があった頃、この地には馬場があり「尼が馬場」と呼ばれていた。そのことと、高い所にあることから天が桜と名付けられた。桜は「エドヒガン」で4月上旬に濃紅色の花をつける。 注3.尼が馬場 ここは鷹取山の頂きに城があった頃馬場があり、「尼が馬場」と呼ばれていた。古くは高いところにあるから「天(アマ)が馬場」と言っていたのが変化して尼が馬場になったと思われます。 注4.虎尾桜 和名は「エドヒガン」という種類の桜で、高さ17m、胸高周囲3.8m、推定樹齢600年、県下最大の「エドヒガン」といわれている。4月上旬に深紅色の花をつけ、満開時の景観は見事。 |
|
【その他】 ●福智山(東峰?)付近に石を積んだケルンの様なものがあるが、これは約30年ほど前に北アルプスの剣岳で遭難された方が福智山が好きであったとかで、福智山が一番良く見える所に記念碑をつくったとのことで、今はこれを知っている人は少ないとのこと。 ●筑豊山の会がつくった山小屋荒宿荘は、これも約30年前につくられたもので、資材の全てを鱒淵ダム側の九州自然歩道から人力で運びあげてつくったものだとのこと。 たまたま山小屋で食事をしているときに、当事この作業に携わった方に遭い話を聞かせて頂いたが、感謝の気持ち込めて今後も利用していこう。_(_^_)_ 小屋横に置いてあるU字溝を使って炊飯をしている人を時たま見かけるが、火を使うとコンクリートは駄目になるのでやめて欲しいと先輩方は嘆いておられた。 <2000年9月 山ひとすじ記>写真:山ひとすじ |