第8回:祖母山オオヤマレンゲ

場所 祖母山(宮崎県) 山行日 2000.7.2(日)晴れ、雷雨
参加者 なかむとし、シュート、YUTAchan、WAKABA、楓子、大分市内の後藤  計6人
幹事 なかむとし
コース 尾平→黒金尾根→天狗の分かれ→祖母山頂→9合目小屋→宮原→尾平


もみ志屋旅館にて
左から後藤、楓子、シュート、
なかむとし、YUTAchan、WAKABA
(写真提供:後藤)
<詳細紀行文>by 大分市内の後藤
今回の山行は、やまびこ会の定例のOFF会ではあるものの、ある意味ではいつもとは少し違ったものとなった。我が会では毎月1回のOFF会を計画している。5月期は「烏帽子岳(熊本)」への山行を実施した。その興奮が覚めぬまま6月期の計画を立てるときに丁度「祖母山清掃登山(6/4)」の話が持ち上がり、会として参加することで話がまとまった。
ところが、予定日の前日大雨となり、メンバーの安全を第一に考え中止とした。この時、祖母九合目小屋番さんをはじめ多くの方々にご迷惑をおかけしたことを改めてお詫びいたします。

その後、再度計画を立て直し、「九重白口岳(6/18)」を打ち出した。しかし、6月の雨は無情なもので前日中止の運びとなった。即 再度の計画を当初お流れになった「祖母山(6/25)」で立案したが、これも流れ、やっと今回の「祖母山オオヤマレンゲを愛でる会」が実現した。
幹事のなかむとしさんを含め、メンバー計6名は尾平付近前泊で計画を立てた。
宿の手配はYUTAchan担当。早速尾平登山口すぐそばの「もみ志や旅館」を手配。

尾平といえば、川上渓谷。前日の宿での夕食を19時に設定したので、「18時前に集合し河原でビール片手に」という計画だったのだが・・・大分からの私は、15時頃出発すれば「ビール片手に・・」と思いザックの最終点検をしていた。すると電話が鳴り、「到着が1時間程遅れます。」とYUTAchanからの連絡。シュートさん(今回の主役?)が寝坊したらしく、それから準備したもので、かなりのロスタイム。
なんやかんやでシュートさんを乗せたYUTAchanの車は北九州市を出発、なかむとしさんの待つ博多へと向った。準備の際慌ててシュラフカバーとカッパを間違えそうになったというから、どの位慌てていたかが目に浮かぶ。約1時間遅れでなかむとしさんを乗せ、一行は尾平へと向った。
国道57号線沿いの玉来(竹田の熊本寄りでタマライと呼ぶ、商売繁盛の扇森稲荷神社で有名)で私となかむとし組が合流し、近くのスーパーで酒・つまみ・菓子・トマト等購入。
その後一行は狭い山道を尾平へと向った。WAKABA・楓子組もほぼ1時間遅れで尾平を目指していた。
なんとか19時に尾平に到着。結局、「渓谷でビール片手に」は夢と化してしまった。

もみ志や旅館に到着すると、害虫駆除(?)が行われたらしく、近くの猟友会の人たちが戦利品となる鹿を解体し各自に分けていた。思わず「これ、今晩の夕食に出ます?」と聞いたのは言うまでもない。
部屋へ荷物を運び、WAKABA・楓子組到着まで風呂へ入ったが熱かった為、風呂から出てきたあと汗でびっしょりになった。が、汗となって出た分以上にビールで潤した。その後全員が揃い夕食をとった。
夕食はガイドブックでも紹介されているが、名物の猪鍋とやまめの甘露煮を中心とした山菜料理、今回はそれに取れたての鹿刺しをプラスしたものだった。
楽しい夕食も終わり、部屋へ戻ったが、話が弾んだこともあり、結局は午前さまとなってしまった。

その夜は窓の外から聞こえる渓谷のせせらぎと、部屋の中で発生するイビキがみようにマッチして金縛りに遭ったように(祟りか?)寝ることが出来た。
何時間寝ただろうか?けたたましい鶏(チャボ?)の鳴き声で目が覚めた。4時過ぎだった。
その合唱は朝まで続いた。

朝6時20分を回ったとこで起床となり、朝食後、昼食のお弁当をザックに押し込み、あわただしく旅館を後にした。
尾平登山口駐車場までわずか車で30秒。早速ミーティング、7時30分に出発した。
足の遅い私は相変わらず最後尾をついて行く。
平坦な道を数分歩くと奥岳川沿いに出て、最初の吊り橋が目に入る。この橋の下をくぐって少し先へ進み二つ目の吊り橋を左岸へ渡る。造林地を進み、ウルシワ谷、川上本谷と 右に左に横断した。谷の水は少し多めで、先日の雨のせいか、各所に掛けられていた丸太橋がかなり傷んでいた。ここまでは、楽で、涼しく快適なトレッキング(30分も歩いていない)だった。
いよいよ黒金尾根にとり付いた。これまでの天国が一気に地獄といった感じで、先日より体内に蓄積されていた水分(ほとんどビール?)が滝のように流れだした。

ルートには100mおきに高度標が設置されていた。ほとんど100mおきに休憩をとり、水分を補給した。天狗の水場まで行けば、給水出来ることがわかっていたので、結構水は飲んだなあ〜。
駐車場(600m)から1時間半で1000m地点に達し、ここで先発隊と一般隊に分け、天狗の水場を目指すことにした。(単に足が遅い私と、寝不足でースダウンしていたなかむとしさんの2名が、健脚組についていくのがきつくなっただけのこと)先発隊が水場(1450m付近)に10時15分到着。その後一般隊は35分遅れで到着した。
天狗の水場は水が豊富で、前日購入したトマトを冷やして食べた。とても美味しかった。

ここで余談、一般隊の私が途中で大キジを撃ったのだが、先発隊と分かれた後、1100mを過ぎるまで我慢し、1200mを過ぎた付近で決行しようとした。ところが、ここで地形的に大キジは難しいことに気がついた。1200mを越すと完全な尾根状態になって左右に平地が存在しなくなる。しかも傾斜はきつく、しゃがむという行為すら出来ない。また、あたりには疎らなスズタケや幹の細い木しか生えていないので登山道から丸見えだ。こんな状態での私を想像していただけると黒金尾根の1200m〜1400m間については今後の皆さんのお役に立てていただけるのではないかと思う。
本題に戻し、水場を11時05分に出発し、11時半頃天狗の分かれに着いた。縦走路である。

天狗岳に行こうとの計画だったが、あいにくガスがかかり景観が望めそうになかったので中止し、すぐ祖母側の展望台で休憩した。11時50分に出発。12時45分に祖母山頂に到着した。
苦労してやっと到着した山頂だったが、ゆっくりくつろぐ暇も無く、少しずつガスがかかりあたりの景色がほとんど見えなくなったころ遠くで雷の音が聞こえ出した。
早々と写真を撮り13時20分過ぎには下山開始、9合目小を目指し一気に降りた。

雨が落ちだし、雷が近づいてきた頃(13時30分)山小屋に到着した。間一発セーフといった感じだった。
ここで遅い昼食をとった。この時点では、辺りは真っ暗になり集中豪雨なみの雨、すぐそこに落ちんばかりの雷の束、とにかく緊張の30分間だった。
食事が終わる頃には雨もほとんど上がり、雷は宮崎県の方へ(?)行ってしまったようで、辺りも明るくなり付近の散策を行った。緑の木々の中に真っ白な花が沢山咲いていたが、これがオオヤマレンゲだということはすぐにわかった。各自思い々に写真を撮り下山の準備にかかった。

多少の雨が予想されるのでスパッツくらいは着けておこうかということになったが、シュートさんは半パンで登っていて、なんと素足にスパッツというスタイルになった。
これがまた今流行りの女子高生のルーズソックスみたいになり大爆笑。なんとなく変な一行は山小屋をあとにした。(14時45分)
帰りは宮原コースをとる。馬の背、前の背と通り、ここで祖母山の景色を目に焼き付けた。

宮原から右へ下り、一行は尾平へと向った。相変わらず私となかむとしさんは最後尾だった。
小雨の中の下りは結構大変で、足元がぬかるみとても滑りやすく何度も転んだが、登りと違いあまりペースが落ちず時間的には安定して下山できた。
2合目でルートが2つに分かれており新道1.2Km・旧道1.5kmと書かれていた。当然近道の新道を選んだ。新道は林道を通らず直接吊り橋に出てくるコースでこれまた結構ぬかるみコースだった。新道と旧道の合流点は最後の吊り橋の正面だった。吊り橋を渡り、川のほとりに腰を下ろし泥だらけになった靴やスパッツ、ステッキ、カッパなどを洗った。あとは遊歩道を5分も歩けば最終到着点である。17時02分に尾平登山口駐車場に無事到着した。お疲れ様、と言いたい所だが、ここで終わっては奇行文ではない。

私となかむとしさんが到着した時、一足先に下山したWAKABAさんと楓子さんは着替えて車の中に、YUTAchanも車の中でくつろいでいた。16時45分頃到着し私たちを待っていてくれた。しかし、確かあと1人? その時道路の方から赤い傘をさしてリックを背負ったシュートさんがこちらへ向って歩いてくるではないか。そして近づいてきたシュートさんが一言。
「お疲れ様でした。早く下山したので、もみ志や旅館でビール飲んできました。」どうも早く到着した(16時10分)らしいが、車のカギはYUTAchanが持っていたため着替えることもできず、雨宿りしながら待っていたが、なかなか私達が下山してこない為、時間つぶしに旅館へ行き、つい飲んでしまったらしい。以上、ここで本当の終末を向えることとなる。

全員が揃い、解散ミーティングを行い、各自帰路へとついた。なかむとし、シュート、YUTAchan3人組は解散後、17時半に尾平を出発したにもかかわらず20時半を過ぎてもまだ大分県内をはいかいしていたという事実もあるが、この件については彼らのエピソードとして今回は触れないようにしておこう。
又、今回シュートさんにおいては数々のエピソードがあった。しかしこれらの詳細については、同行した者達の大きな良き(?)想い出として心の奥のにしまっておこうと思う。

今回の山行については私自信とてもつらかったが、その反面楽しいものとなった。私達一行が体験したこと、経験したことのひとつひとつが、自分の山の記録として、又やまびこ会の歴史として積み上げられている。この感動を次回の山行につなげていくことを心に誓い筆を置くこととする。
最後に、この紀行文を読んでくださった方が、私達の活動の意義を少しでも理解して下さることを希望します。

尚、奇行文作成にあたり、なかむとしさん、WAKABAさん、YUTAchanさんからの資料提供がありました。

<奇行文担当:大分市内の後藤>


鹿肉の解体・もみ志屋旅館にて
本日の料理となる。
(写真提供:シュート)

もみ志屋旅館にて前泊・大宴会
左からWAKABA、シュート、後藤
YUTAchan、なかむとし、楓子
(写真提供:なかむとし)

天狗の水場にて休憩
左から後藤、なかむとし
(写真提供:なかむとし)

祖母山頂で全員写真
ピースサインがなんとも古い!
後列左から後藤、楓子、WAKABA
前列、なかむとし、シュート、YUTAchan
(写真提供:なかむとし)

山頂でのひとコマ
ビールでご満悦の後藤
山頂脇の野菜炒めおばちゃん軍団が
気になるWAKABA
(写真提供:シュート)

山頂からi-modeで掲示板に
書き込みに夢中のYUTAchan
(写真提供:シュート)

祖母9合目小屋にて
スパッツがルーズソックスに変身?
(写真提供:後藤)

小屋付近に咲いていた
オオヤマレンゲ
(写真提供:なかむとし)

馬の背にて、祖母山をバックに
(写真提供:なかむとし)

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