やまびこ会原点の山へ!

恒例 椎葉夜神楽と馬口岳登山−2001−

 


場 所 宮崎県椎葉村・馬口岳 実施日 2001.11.24(土)〜25(日)
参加者(敬称略) なかむとし、ism、レイ、みか、山好き夫、山好き婦、百名山、かつら、しげ、きしめん親子、Sam、K島、ぴろりん
世話人 なかむとし(代行:ぴろりん)
現地参加(敬称略) たつこ、ケイユキ、テルキ、せい、Ringo・・・(受け入れ準備など、大変お世話になりました)
日 程 1日目:椎葉村川の口集落センターに宿泊、川の口地区夜神楽鑑賞

2日目:馬口岳登山(川の口集落上方の村道終点登山口から、馬口岳山頂を経て馬口石(往復登山)


<紀行文担当>

みか

 

<写真提供>

なかむとし

山好き夫婦

百名山

ぴろりん

 

<HP編集担当>

ぴろりん

(おいおいまたかよ)

右は馬口岳山頂での全員集合写真です。

上の2枚は全員集合後の食事の模様です。

小崎住吉神社の神楽を鑑賞しました。(上3枚)

さあ、登山開始!樹林を抜けると快適な稜線です。(上2枚)

馬口石では、その高度感と眺めに、みんな感動の声をあげました!(上4枚)

11月24日(土) 晴れ

 265号線、2777mの国見トンネルを抜けると、そこは椎葉村だった。深い谷と、走っても走っても途切れることのない山々。深い谷間にいるせいか、随分陽が傾いて夕方のように感じる。先が見えないカーブが多いが、想像していたよりも道がよく、快適なドライブになった。

 午後4時前、川の口集会センターに到着。静かな秋の光に満ちる山里に降り立つと、集会センターの背後にせまる馬口岳を見つけた。なかむとしさんが、「あの山がやまびこ会のシンボルですよ。」と指をさした。馬口石らしきものも見える。

 椎葉村のせいさんが出迎えてくれる。やさしい穏やかな語り口に心がホッとする。一瞬でせいさんを大好きになる。初めて訪れたのに、なつかしい感じ。不思議な感覚。

 各地から参加者が続々と到着する。やまびこ会発足メンバーのringoさん、それから盛沢山の料理と共に現れたたつこさん。ぴろりんさんと不思議な縁をもつ椎葉さんも登場。お神楽の出番前にけいゆきさんも駆けつけてくれた。せいさんのお嬢さんのさいこちゃんもお手伝いに大活躍。

 かんぱーい!皆で顔合わせ、ご馳走を囲む。珍しいものがテーブルを埋め尽くしている。まずは、鹿刺。この日にあうよういいタイミングで手に入ったことをせいさんが教えてくれた。たっぷりの卸生姜をつけて食べる。あまくてとろける、おいしい! 岩茸の柚子味噌和えも珍味だ。岩茸は高地の危険な岩場でしか採ることのできないものらしい。地元の人もめったに口にできない、この黒いふぐ皮のような岩茸を山盛りにして、真っ赤なもみじの葉をさりげなく添えていたのは、たつこさんだ。ありがたくいただく、おいしい!椎葉と言えば、しいたけ。香り豊かで肉厚の椎茸を、お煮染め、巻き寿し、南蛮に。本当においしい!宮崎出身の家庭料理、チキン南蛮もある。他にもレタス巻きにいなり寿司、煮豚に軟骨のやわらか煮、たこ入りなます,手作り蒟蒻のお刺身、女性用にさつま芋の春巻きまで!そして、黄色の柚子胡椒で食べるせいさんのしし鍋。どれも心のこもった手作り料理。あたたかいもてなしに、一同感激。そしてまた、なつかしい感じ。不思議な感覚。少し酔いのまわった頭で考えた。「正月に親族が集まってお祝いしているみたいだなー。」

 そうか、今日はやまびこ会のお正月なんだ。

 19時30分頃、椎葉の夜神楽鑑賞へ。境内の大きな大きなイチョウの木が、小崎住吉神社の歴史を伝えている。村の人々に混じり、太鼓と鈴のリズムの中に身を置く。神妙な顔つきで舞いをみつめる。子供から長老まで、村の人々には厳かな中にも大らかさがある。太鼓のリズムに合わせ、掛け合いのはやし歌をうたう女性たち。なんともいえない味がある。

 けいゆきさんの舞にひきずりこまれる。長老のたたく太鼓の音だけしか聞こえなくなり、今自分がどこの世界に居るのかさえわからなくなりかけたころ、大きなやかんに入った神酒が振舞われた。お酒が入り、陽気になった人々。場のエネルギーが神とひとつになったのを感じる。

「なんて心豊かになれる空間だろう。」

 手打ちの十割そばをいただきながら、ここにいる全ての人とここで同じ時間を分かち合えた幸せをかみしめた。

 23時名残惜しいが戻ることに。夜神楽を脈々と伝承し続けた村人とご先祖さまへの畏敬と感嘆の念から自然にお辞儀がでて、神楽殿をおりた。夜空、ギョっとするほどたくさんの星で埋まっている。あまりの美しさに息をのんだ。

 帰りの唯一の車には、9人もの人が、ギュっと詰め込まれた。荷台の4人の男たちは息もできなかった。

 夜神楽は、私たちが寝ている間も続いている。明朝10時まで。

 

11月25日(日) 快晴

 清々しい朝を迎え、皆で朝食をとる。それから、大きなガス釜で炊いた椎葉産無農薬のごはんをおむすびに。きしめんさんの娘、みなみちゃんも女衆とともにおむすび作り。なかなかうまいもんだ。その横では、しげさんとismさん、必死になっておむすびを竹の皮で包んでいる。悪戦苦闘の様子、と「できたあ!」の声。二人とも少年の笑顔。

 10時、4台の車に分乗し、登山口をめざす。晩秋の空からくる光が一面の枯れ薄を美しく輝かせている。細い林道は落ち葉に覆われやさしい表情をみせているが、車は右に左に大きく揺れている。険しい道を登って行く。

 いよいよ登山開始!

 小さなスギの植林の脇を進むといきなりの大パノラマ。深呼吸する、気持ちがいい!「さあ 元気に出発!」  ところがいきなりの急登。先頭のなかむとしさん、すぐ後ろをどんどん登ってくる、さいことみなみのキッズパワーに惑わされてスピードが上がる。何度も後続に呼び止められた。 子供は素晴らしく元気だ。

 小休止をとり、2度目の急登。足元から落ち葉のカサカサという音がリズムをもって聴こえてくる。2度目の休憩後は、比較的楽な道に。まわりを見る余裕もでてきた。

 鹿が食べた表皮の乱れた木膚、グレーの鳥の羽の残がい、木の実らしきものが混じる小動物の糞。いたるところに動物と自然の豊かな営みがみられる。頭上には赤い実をぎっしりつけた木が美しい枝を伸ばして鳥の訪れを待っている・・・・・・。

 気がつくと、山頂へ。ここでリュックをおろす。身軽になったからだで馬口石へむかう。

 しばらく行くと皆、きいーとか、きゃあとか言いながら岩峰をめざしている。すごい所だ! はやる心を鎮めながら慎重に渡って行く。

 震える足で馬口石に立った。

 360度、山!山!山! 山の名前なんか知らない。とにかく素晴らしい! 山々が幾重にも幾重にも肩を組んでぐるりと輪になっている。そして馬口石に立つ私たちを受け入れてくれているー。そんな大いなる自然のやさしさ、おおらかさが心にどうしようもなく届く。

 泣きそうになった。

 うれしそうに皆を見るなかむとし代表やせいさん、たつこさん、椎葉さん、ringoさん、そして椎葉に魅了されているぴろりんさんの同じ目の輝きに、なぜここがやまびこ会のふるさとであるのかが、一瞬わかったような気がして胸が熱くなった。

 下山後、集会センターで、おぜんざいをごちそうになる。昨晩の夜神楽に奉納されたおもちが入っていた。少し疲れた身体に力が湧いてくる。

 2日間の椎葉村での体験には、「なつかしい感じ。不思議な感覚。」がいつも一緒にあった。夜神楽で太古から受け継いできた感性が、目を覚ました。馬口石で山々と交感した喜びの感覚も確かに在る。

「にんげんのきゅうきょくのシアワセ」

 忘れていた大事な宝物をお土産に椎葉村をあとにした。

 

 

椎葉村の皆さん、心からのおもてなしに感謝を申しあげます。やまびこ会が単なるネット上のつながりでないことを教えて下さったのは、貴方方でした。

        p.s 今回一緒にこれなかった仲間と来年も帰ってきます。

稜線に出た。木漏れ日の中で休憩。なかむとしさんはここでも仕事か?

       

登山口直前の伐採地で記念撮影。                    最後にケイユキさん準備のぜんざいをいただく。

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