鳥取県、岡山県
大山,蒜山登山記
亜紀さんの山行報告(3)

登山&山行記録:亜紀  HP編集:ヒデ
コース2002年10月16日 大山寺−大神山神社−下宝珠越−ユ−トピア避難小屋(往復)
         1017日  蒜山スキ−場駐車場−百合原牧場−上蒜山(往復)


大山の旅に出かけたのは10月15日〜18日。16日に大山を歩き、17日に蒜山を歩いてみた。
山旅を終え熊本へ帰ると急に気温が下がり一変に冬が来た。
「深山のかおり」大山の旅で最後の夜にお世話になった宿のおばさんに、手土産にと貰ったほうじ茶。熱湯を沸かし入れてみた。山で採れた茎葉のこうばしい香りが懐かしい。このレポ−トを書き終えるまで毎晩飲むことにしよう。
鳥取県の大山を意識し始めたのは、2年くらい前にモンベルの店で偶然観た1本の記録ビデオだった。まだ撮って間もない冬の大山で、屋根を埋めるほどに降り積もった雪と青い空。かんじきを付けた若者達が笑顔で歩いている。
いつもこんな風な気象条件とは限らないだろうが、その姿は息を呑むほど美しかった。いつか歩いてみたいと思った。しかし、一人ではとうてい冬山は無理。でも、雪が舞う前の秋ならばそれも可能だろう。


大神山神社奥宮へ続く参道

帰り道に見た、参道に射す木漏れ日
10月15日。さあこれから高速を1日走る長旅だ。単調な風景を一人で走るのは少しきついけど頑張ろう。予報ではきょうのお天気は今一つだった。関門橋を抜け中国自動車道に入ると車の数が急に減り寂しいくらい静かになった。山口県に入ったころだったろうか。怪しい天気が急に荒れ始めた。並木の小枝が目の前を舞い始め激しく雨が降り出した。ワイパ−を回転させても前が見えない。慌ててスピ−ドを落としとにかく近づいた鹿野サ−ビスエリアへと逃げ込んだ。ただの雨では無いとは思ったが雹が降っていたのだ。車を停めて気が付いた。
一人でいるのがちょっと不安になり、ミラさんに電話をかけてしまったが、電話を切る頃に嵐もおさまり始めていた。
再びハンドルを握り先を急ぐ。まだ先は長い。通り過ぎるサ−ビスエリアごとに休憩を取り米子自動車道へと入る。これから先はいやな対面通行だった。4キロを超える摺鉢山トンネル。息が詰まりそうだった。
蒜山インタ−でようやく高速をおり、宿泊地の大山鏡ヶ城へと向かう。もう日も落ち暗くなり始めていた。休憩を入れ10時間を超える運転をひとまず無事に終え、18時過ぎに宿へ到着した。
鏡ヶ城はまだ新しくきれいで、少し暑く感じられるほど保温性のきいた所だった。こんな広いところで一人テ−ブルに座り食事をとるのはなんとも寂しかったが、チュウハイなどをたのみ夕食をすませ休むことにした。

霧がいい具合に紅葉を引き立ててくれました

大山にガスが晴れていく様子
10月16日。朝食の時間が合わず弁当も間に合わないということで、何もとらず登山口のある大山寺へと向かう。
昨日の天気が尾を引いているようで、登山口に着いてもまだ山は深いガスの中にあった。途中いつものように道に迷い結局、朝食時間の1時間はロスをしてしまう。
しかし、このガス。急ぐことはないだろう。持参したクラッカ−などで朝食をすませ、9時過ぎに大山寺から歩き始めた。
日本一長いといわれる苔むした石畳の参道を歩き、大神山神社奥宮へと進む。神社は想像より大きく時代を感じられた。登山道は大神山神社奥宮の右手奥へと続いていた。大山は崩落が進み危険個所が多いと聞いていたが、今回歩いた宝珠尾根もやはり崩落が進み道も細くなった所があり、下山時そこでストックを落としてしまった。
落ちたのはほんの数メ−トル下で、ちょっとで手が届きそうなのに、取りに降りようとすると足場がぼろぼろと崩れていき、ほんとに落ちてしまいそうで、そのストックはそのまま置いて帰って来た。
どれくらい歩いたか、まだあまり進んでいないのに、朝まで降った雨に濡れた樹木の鮮やかな朱色に夢中になった。その頃から少しずつガスが切れ始め、眼前にゴツゴツとした荒々しい岩壁が姿を見せ始めた。北壁の方だ。
ガスが切れるたびに立ち止まりシャッタ−を切る。夢中になるものが見つかると、もう時間を忘れてしまう。時間と一緒にせっかく教えてもらっていた事(元谷の砂滑りコ−ス)まで忘れてしまっていた。
ユ−トピア小屋までは明るくなったがその上のガスがなかなか引かず、ここで昼ご飯でも食べて戻ろうかと思っていると、眩しい光りと一緒にガスが明けた。
麓に目をやると弓ガ浜がうすらと遠望できた。象ガ鼻付近まで進みその勇姿をカメラに収め下山する。

大山にガスが晴れていく様子2

象ガ鼻付近から望む剣ガ峰
10月17日 高原の朝気温4度。明るくはなって来ているが陽射しがない。雲海は無理かと思いながらスカイラインを走りはじめた。
見晴らしの利くカ−ブでふと目をやると、なんと雲海ではないか。次の東のカ−ブでは一面の雲海が広がっていた。その頃、温泉マ−クさんの住む湯原町では濃い霧に包まれていたそうだ。
蒜山高原では朝露をいっぱいに浴びた草花が、朝日に照らされキラキラと宝石のように輝いていた。逆光に映える秋桜畑でひとしきり写真を撮り終えると、昨日一日ろくな物を食べていなかったので、登り始める前に食べ物を探さなければならなかった。
実は昨夜は美しい夕日に夢中になりすぎて、夕食を食べそこねてしまったのだ。道の駅で一軒だけ早めに開けていたうどん屋さんを見つけ、何とか食べ物にはありつくことが出来た。
はじめ、蒜山は下・中・上蒜山と三座縦走の予定で来たが、ストックを落としたり食事を食べそこねたりしたので、きょうも無理をせず上蒜山だけゆっくりと登って帰ることにした。 蒜山は昨日の大山とは異なり、なだらかな山肌で九州の阿蘇や九重の山を思わせた。
咲いていた花もリンドウ・マツムシソウ・ウメバチソウ・ヤマラッキョウと、九州でもお馴染みの花々だった。
見た目はなだらかな上蒜山も登りは結構きつかった。杉木立の中の直登の木段を登り終えると日当たりのいい緩やかな尾根道が山頂付近まで続く。天気は雲一つない好天で、所々にある木陰に身を寄せながら登って行く。
5号目付近から返り見る眺めは特に良かった。ちょうど阿蘇外輪山の一ノ峯・二ノ峯に似て、高さは無くても高度感を感じられた。山頂から三角点までは10分くらいだったが、背丈以上のヤブこぎで大変だった。

大山・蒜山スカイライン展望所からの雲海

左から上蒜山と中蒜山
昨日は素晴らしい勇姿を見せてくれた大山が、きょうは霞みが強くてあまりよく見えなかった。昨日登っていて正解だったかもしれない。
上蒜山でも昼食にカップ麺を食べ、花の写真など撮りながらゆっくりと下山する。
下山した後は温泉マ−クさんにお薦め頂いた、岡山県湯原町の真賀温泉の木地屋旅館へと向かう。「蒜山から国道313号線を湯原IC目指して南下して・・・」
細やかな温泉マ−クさんの案内で、道に迷うこともなく走る事ができた。
湯原町はちょうど、ぴろりんさんや、かおるさんの住む宮崎県の椎葉村のように山間の静かな町だった。深い山々に囲まれた町は、やはり日が隠れるのが早いようだ。
暗くなる前に何とかたどり着くと、宿の前でおじさんと、おばさんが出迎えて下さった。おばさんに入れてもらった暑いお茶を頂いた後、浴衣に着替え下駄を鳴らし、150円で入れる湯元の温泉館へ浸かりにいく。番台のご主人はちょうど夕食時らしく、みんな勝手に小銭を置き入っていた。この時間はいつもそうらしく、私も小銭を番台に置いて風呂を浴びた。少しぬるめの湯は山歩きの疲れをやさしくほぐしてくれた。
宿へ戻るとお櫃から白い湯気がいっぱい立ち昇る、炊き立てのご飯が待っていた。
二日ぶりに口にしたご飯が何よりうれしかった。

人の姿がある所が5合目

長年使い続けられてきた茶道具
翌18日は熊本まで真っ直ぐに帰るだけだ。 朝方はきょうも霧がかかっていた。きっとまた雲海が見えていただろう。
いろいろと親切にして頂いた宿のおばさんに別れを告げ、長い帰路に就く。
今回の大山行きでは、湯原町の温泉マ−クさんにほんとうにお世話になりました。
この場をお借りして改めてお礼を申し上げます。
今回の山行では山頂を踏むことが出来ませんでしたが、きっとまたいつか行きたいと思います。
次は夏か冬か?ですがその時はどうぞよろしくお願い致します。

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