薩摩三山(開聞岳、大の柄岳、高千穂の峰)

ーーー幻の屋久島ーーー


10月10日(金)夜8時15分、予定をちょっと過ぎ、屋久島を目指して 井尻駅前を出発。相棒は、この日のため、三里河原で予行演習済みの風来坊さん。 筑紫野ICから高速に乗り、緑川PAで休憩。溝部PAを過ぎた辺りから 車が横風を受けフワフワする。気にもとめず、鹿児島北ICで降りて 鹿児島北港を目指す。水族館の建物の反対側にトッピー(高速船)の 乗船場を確認し、夜食の「おでん」とビールをコンビニで買い込み また乗船場の駐車場に戻る。

夜の港というのは、何かしら、ウキウキ気分である。 アベックが車に同乗し、暗闇と潮風を楽しんでいる。 そこに、イルミネーションで飾った大きな観光船が、 多分、桜島との往復であろうか、夜の1時というのに 港へはいってきた。あわてて、カメラのシャッターを切る。 風来坊さんも、最近買い換えたデジカメ付きのケイタイで シャッターを切る。



夜船のイルミネーション

まあ、明日も早いし、「2時までには寝にゃいかんね〜」と 約束どおり、荷物を運転手と助手席にほおり投げ、 車の後ろをフルフラットにし、寝床を確保する。 いつもなら、テントを張って外で寝るのだが、風も少しあるし 雨も降るかも知れないということで、車で寝ることにした。

4〜5人で来ていた若者のうち、一人女の娘が完全に ”ハイ”になり 一人で喋りまくっている声に起こされた。風来坊さんは、
「3時ころからず〜っと喋ってたよ、おかげで寝られんかった」
と、目をこすりながら言う。 ワシントニア(ヤシの木)が風でゆれている。 食事をすませ、上船場の洗面場で歯磨きをし、一旦戻って、乗船を待つ。

昔、お世話になった、無線の山の会のメンバーも、今日一緒の船のはずである。 荷物の準備を終え、乗船手続きを済ませに行く。

旧友たちと再会し、元気やった〜、と握手。 そのうち一人が、
「アンタ、な〜んしに行きよっと!」
と、丸々の博多弁で声かけてくる。 (あんた達と一緒に、屋久島行くったい!)と心では思いつつも、 なんか、変なお声がけ。意味がよう分からん??

同行のなじみの女性が、
「トッピー、欠航ってよ!明日もどうなるかわからんって!」

ええ〜〜〜〜っ!!!!!!
 そんなぁ〜〜〜っ????

風来坊さんと私は、唖然としたまま、 しばし、そこに佇んでいたのであった。。。。。



■初日:開聞岳

二人とも、雨は予想していたが、欠航なんて予想だにしていなかった。
「どうする?風来坊さん。」 「どうすると言われても、こんなことになるなんて、ぜ〜んぜん考えとらん やったけん、資料もな〜んも 持って来とらん!。」 2人とも、呆然と立ちすくんでしまった。
「夢の屋久島」が、「”夢”の屋久島」に変わった瞬間である。

しゃ〜ない。せっかく鹿児島まできたのだから、 切り替えて、薩摩三山(霧島、開聞、オオノガラ)に行こうと協議。 なかむとし代表にTELし、ダックスさんと、キスケさんのケイタイを 教えてもらう。連休なんで、予定は はいってるだろうが、スケジュールがたたず、 上手くいけば同行を、それが無理なら、夜だけでも付き合っていただければ、、。 なんて甘い考えで連絡をいれるが、ダックスさんは予想通り、神奈川(実家?) に移動。 キスケさんとは連絡取れず、伝言メッセージを入れておく。 (あとで分かったことだが、キスケさんは伝言メッセージ を使ったことが なかったらしく、使用方法を、 奥さんに教えてもらったそうな)

鹿児島から225、226号線を南下、眠たい、zzz。 石油備蓄基地の喜入あたりで30分ほど仮眠。 更に南下し、池田湖畔で休憩、イッシーの子供の、大うなぎを見物。 (直径15センチ、長さ1mの丸太ン棒の様な巨大うなぎ、  その蒲焼は、ホントに美味しいっちゃろうか?) ここで開聞岳を撮影する。7合目から上の方は、ガスがかかっていた。



開聞岳

登山口へ到着し登山開始。ルートはCJNさんのREPで、およそ頭に入っていた。 円錐形の山を右巻きに一周する感じで、ダラダラとした登りがずっと続く。 途中、晴れていれば見晴らしが良さそうな場所が数箇所あったが ガスに囲まれ、視界ゼロ。雨もポツポツ降り出した。 2時間ほどでようやく山頂へ到着。岩場の山頂は、パラでテイクオフするには 難しそうだ。

夫婦連れと言葉を交わす。
「大分から来たんです、トッピーが欠航して、、、」
「ありゃ、おんなじですねぇ〜。われわれも福岡から来たんですよ。」
「そうでしたか、風、強いですねぇ〜!」
「はあ、人が立っとられんけん、20m/sはありますよ、ミニ台風並みですが〜。」
「そうでしょうね〜。トッピー、欠航するはずですヨねぇ〜。」
夫婦の写真を撮ってあげて、別れを告げる。 ようやく下山。

麓で、仲間を待っていて、ベンチに陣取っていた、山に登らない、 でっぷりとした60近くのオヤジが、声かけてきた。
「大阪からきのう、フェリーできたんやけど、女性2名と男性2名に会わ   はんかった? あんたたち、何時ごろ登らはった?」
「4時間くらい前ですぅ〜。」
「ほな、もうすぐ降りてくるな〜。  トッピーが欠航してもうて、開聞のぼろか、ちゅうことに    なってな〜、知らんもん同士で行っとるんやが。」

おなじ境遇の人はいるもんだ。 車に戻り、ひょっとしたら、二日で屋久島めぐれるかもしれん と、天候の具合を知りたく娘にケイタイ入れるが繋がらず、、、。 POPOPOおじさんなら、土曜日、ひょっとして、店に いるかも知れないと連絡いれると、仕事の途中だが、店の近くらしい。 明日の天気と波の高さを 教えて欲しい旨、お願いする。 ややして連絡あり、
「波の高さは今日7〜5m、明日も5mらしいよ」

ありがたい。じゃあ、明日(日)は霧島山系を縦走しようね、と、 鹿児島市方面へと向かったのである。


ミニミニ事件簿:なさそうであるのがちょっとしたアクシデント。

(その1)
この日風来坊さんの腕時計のコンパスは、雨に濡れてか 作動不能に陥った。進行方向が南東から南西のままで、 終わってしまったのである。
(その2)
山頂から下り、ギクッ!、と足を痛める。 でもテーピングをしていたので、ダメージが少く、すぐに 歩き始めることができた。 1巻き500円、5回使って、1回当たり100円は安いか。


■2日目、大の柄岳

霧島に行く予定で高速道路に乗ったが、3日目に大の柄だと、帰りが 福岡から遠くなる。2日目を大の柄にしたほうが正解やねと、 鹿児島市内を抜けて国分ICを過ぎる。多分鹿屋に向かうはずよね、、、。 と、気にせず行くが、なんか北上しそうだ。末吉とか看板に見える。 ひょっとしたら宮崎へ行く道かもしらん、あまり動かないほうが、いいようだ。 テナわけで、国分PAで一泊することにする。

テーブルを広げ椅子を出し、食事の準備。 屋久島の初日の食事は、そこそこ豪勢にしようねと、事前に 打ち合わせていたので、風来坊さんが鍋の準備をしてくれて いた。こっちも、ササミとトーフなど、追加用の具を取り出す。

ここのPAの雰囲気はいい。SAとちがい、人もあまり来ない。 街灯が洒落ていて、トイレは最新式のつくり。 進行車線とは土手で区画されていて静かで、泊まるには最高の場所である。 今日はテントを設営、持参のウイスキーで秋の夜長を楽しみ、就寝。

途中、目が醒めた。蚊がいるようだ。「かゆい!」 車に戻って、リクライニングを目いっぱい倒して、また寝た。 朝方、再度テントに戻って寝たが、やはり蚊がいるようだ。 薄明るくなってきたので、数えだしたら、いるわいるわ! 結局10匹ほど手で殺した。
「でも全然痒くなかった、」
と、すまして言う、風来坊さんの皮膚は、蚊のストローが届か ないくらい、たいがい厚いっちゃろうね〜、と感心するやら 驚くやら、、、?。

玄米のリゾット(洋風の言葉にすればカッコイイが、 お湯入れるだけの単なる おじや)で朝食を始めると 突風が吹き、空のテントがコロンコロンと転げていった。 雨も強くなる。なんか、今日の一日の不吉?な予感。 転げたテントを撤収し、移動開始。

地図を見ると高速は都城へ北上するようだ。でも、仕方ない、国分ICまで バックするわけにも行かず、末吉IC(終点)で降り、 大隈町を経て、鹿屋市手前の、細山田交差点を右折、 高隈山系の大の柄岳を目指す。 高隈ダム手前500mで左折し細いアスファルト道路をしばし進むと ダートの(荒れた)道に変わる。



大の柄岳

大ノ柄岳の南に高隈山、御岳と続くが、それを東から南に回り 西の猿が城渓谷に至る、延長25キロくらいの砂利道だ。 当然、道は荒れている。両側からススキや、ウツギ類が、 通せんぼするくらい張り出してくるところもある。 離合する個所がいくつかあったが、ハチアワセしたらどっちか 延々とバックしなくちゃならないほどの狭い道だ。

風来坊さんの腕時計の方位計が壊れたので、どこら辺りで回り 込むか確認しようと、車を降り、リュックからコンパスを 取ろうとした時である、ちょうど舗装道路になっていた ところに停車したのだが、車の下に油が大きく滲んでいる。

「ありゃ〜、オイルパン、やられたかな〜!」
「そう言えば、何回か、腹をこすったしね。」
「ひょっとしたら、ブレーキきかなくなるかも知れん」
「なら、はよ戻ろ!」
と、次第に青ざめていく2人であった。

7〜8キロは進んでいただろうか。 とにかく動かなくなることが致命的、早く一般道に戻るしかない。 サイドブレーキを片手におそるおそると戻る。 おりしも雨はジャジャ降り、道は川のように雨水が流れていく。
「すごかね〜、この雨じゃ、登らんで良かったばい」
と、言い訳じみた言葉を交わし、お互いに「うんうん」と、 心の中で納得する。

ようやくダムサイドまで戻って一安心。でも、次に欲が出てくる。
「鹿児島に車をおいたまま帰るわけにもいかんし、 時間も明日まであるけん、一般道路を、無理やりかえるけん」
と私がいうと
「ブレーキが利かなくなったら、ぶつかるかもしれんよ。」
「大丈夫!車間距離は十分取るし、サイドブレーキ握っとくから」
 ただ、風来坊さんは、最後まで私を疑っていたようだ。

通りすがり、板金屋さんが目に付く。日曜なのに仕事中だ。 まあ、ボディばっかしじゃなく、故障にも詳しいだろうと車の状況を話す。

「それは、ブレーキ系統の故障じゃないよ。  サイドブレーキかけたら、ランプがつくでしょう」

「はい、、、」

「オイルはゲージがあるから、その範囲にあればいいけん、 高速で帰りたかったら、滲む程度の漏れなら、2Lばっかし、 スタンドで買って帰ったら、、、」

「・・・・」

結局、今まで心配したことは、ナ〜ンにも気にしなくて良かったのである。 たまたま、舗装道路があったばっかしにオイルを見つけたが、停車した ところが砂利道なら気付かなったし、そのまま旅を続けて良かったのである。

「やった〜〜〜〜〜!」

人間の心理とは、かくも変わるのであろうか。もう、福岡に帰るどころか、 明日の霧島のことを考え始めている風来坊とNRBであった。

昼頃、スタンドでオイルを確保。ジョイフルでサイコロステーキをほおばると、 時間は余っている。風呂でもはいろうか、ということになり、福山から国分 市内を右折、高千穂河原へと向かう。途中、霧島温泉街の「神の湯」で汗を流す。 風呂上りの”麦茶”が美味しい。 2日目の夜はドライフードの予定だったので、 それでは味気ないと、スーパーに立ち寄り、黄金のままかり、ゴマサバ、 キムチうどんなど買い込み、高千穂河原についたころは、もう薄暗くなり 始めていた。



■3日目 高千穂の峰

夜から降っていた雨は、何となく上がったようだ。 でもガスがすごい。地図も持たないし、今日は縦走は止めて 高千穂の峰だけにしようねというと、風来坊さんも、 ここだけは登ってないので、行っときたかったっちゃん、 と返したので、今日の予定が決まる。



高千穂河原(お鉢)

高千穂河原から潅木帯を抜けて、急な火山瀝の登山道を あえぐと、1時間20分ほどで お鉢に着く。 雲海の上にいて、ガスの切れ間から夷守岳(ひなもりだけ) 方面が見える。ややして、中岳、新燃岳から 韓国岳(からくにだけ)方面もみえた。谷あいの紅葉は、 まだ今からだ。

お鉢を覗くと硫黄臭い。河口の底には、石を集めて LOVEと書いている。しゃれたことするな!とニンマリ。 SOS とでも書き直そうか。(^^) 左手に山頂の高千穂の峰が見える。 すこし稜線を歩いて、また赤茶けた、急なガレ場を登り 始める。30分で山頂。 例の天孫降臨のいわれがある、天の逆鉾が、集めた 石ころ(祭壇)の上に刺さっている。裏から結界を 超えて、2人でタッチしてきた。



高千穂の峰

正月、ここから飛んだという、パラ仲間の N須さんに ケイタイする。
「屋久島に行くつもりが欠航してね〜、シャクやったけん   開聞・大の柄、そして今日はここに来たとよ!」
「宮崎に寄って帰る?」
「いや、連れがおるけん、まっすぐ帰る〜」
てな具合に話をかわす。

近くにいた3人連れの学生(男1人、女2人)のうち 女の子が、
「あれ、おじさんたちもそうだったんですか?   あたし達も、行けなかったんですよ!」
「おじさんじゃないでしょ、お兄さんといいなさい!」
「じゃ、おにいさん!」
「でも、あんたたちからすれば、お父さんなんやろね〜」
「はい、おとうさん!」
ちょっと、調子よすぎ〜ンッ!?
聞くと福岡からで、九大生とのこと。
「おにいさん、コーヒー呑む?」
例の女の子が、あったかいコーヒーをすすめてくれた。 ありがたいとコップを差し出す。

この娘たちは、風下に隠れていて、ガスがちょこっと 晴れると都城の平野部や、太平洋が見えるため、 キャーキャー言っては、走って行き、下界の景色 を楽しんでいる。 実際、景色はすばらしかった。

山頂の小屋を覗いて、下り始める。コーヒーのお礼と、 やまびこ会の紹介をして彼らに別れを告げる。 麓まで1時間半。ミヤマキリシマの狂い咲きの株 を見つけたときは、何かほっとした気分になった。

11時半、ちょっと早いが、駐車場の円形のベンチに 陣取り、ラーメンをつくり始める。レタスとソーセージ を入れると、結構いける。残ったパンもほおばる。 さあ、これから帰りだ。途中、松林で、秋の味覚、 アケビを3個見つけた。 えびの高原を経て、えびのICから乗り込み、 筑紫野インターで降りて、家に着いたのは、17:30 であった。

   PS:オイル漏れ は、修理を済まております。

紀行文:NRB
HP編集:KURO

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